少年少女のボクシング

少年少女へ。もしくは親御さんへ。

近年、幼い頃からボクシングを始めるケースが増えてきました。海外では当たり前でしたが、日本では1516歳、高校生程度から始める場合が多く、海外との差が嘆かれてきました。それを打破しようと、高校生以下の大会が徐々に開催されるようになり、公式な試合が開催されるようになりました。

 

現在のトップボクサー(プロ・アマ共)の多くは小学生、中学生からボクシングを始めています。幼い頃からキャリアを積む事は良い事でありますが、焦る必要は全くありません。幼い体の中にある才能がどれだけ大きいかは、中々わからないものなのです。試合に勝つには、厳しい練習が必要になります。敗戦の悔しさ、精神的なダメージは経験者にしかわからないものです。早い時期に試合をし、ものすごい才能があるとしても、そのショックでボクシングから遠ざかってしまっては元も子もありません。もちろん戦いの中で鍛え込んで行く方法もあります。それはメンタルの強い子、弱い子、それぞれに合った方法があると思いますから、もし当ジムで練習し、試合に出たいというお子さんの場合、そこを見極めて方針を考えたいと思います。

 

個人的には、ある程度、筋力が付き、身体が出来てからでも遅くないと思います。技術を覚えても筋力がないと、単に無我夢中で打ち合うだけになってしまいます。「まだパンチ力もさほどでもないから打たれても問題はない。」という考え方もあるでしょう。ただ闘志だけを前面に出した戦いを不完全な体でさせるのは、個人的には気が引けます。

まずはスムーズな動きと、少ない筋力でも使えるテクニックを覚え、練習を重ねてゆけばいいと考えています。

試合のキャリアを積んでいなくとも、練習を積むだけでも、いつか試合に出る段階になったとき、練習は無駄になりません。

 

怪我をしないように、無事な体で本格的な競技生活に入る事を目標としましょう。

 

またバーンアウト(燃え尽き症候群)という問題もあります。

あまりに激しい練習を長期間、行ってしまう事で、競技に対する情熱を失ってしまうことです。最初は、楽しみながら練習し、本格的に競技に取り組むようになってから、苦しい練習を自ら課すようになることが理想的かもしれません。その上で、兆候を細やかにチェックする事が重要です。

 

どこに選手としてのピークを持って行くか。

れが周囲の大人たちが考えなくてはいけない課題です。

親子でボクシング

現在、何組か親子で通って下さっている方がいます。親子でマスボクシングしたり、そこまで出来ないにしても一緒にフィジカルトレーニングしたりしています。強くなる、ならないは関係なくコミュニュケーションにひとつにしてもらえれば幸いです。子供は親を喜ぶ姿がみたいものです。そのために頑張りすぎてしまわないよう、注意しています。

怪我の怖さ

スポーツは何のためにするものでしょうか?親のため?国のため?勝利のため?お金のため?健康のため?ストレス解消のため?・・・・人それぞれ理由があるでしょう。

スポーツをする理由はたくさんあると思いますが、共通する注意すべき事が一つあります。

それは怪我をしないという事です。

あるスポーツに献身したとします。幼い頃から成功を夢見て、日曜日もお正月も夏休みもトレーニングや試合に明け暮れたとします。ある日、怪我をしてしまい、そのスポーツが出来なくなってしまったとします。それは挫折という言葉で片づけるには重い出来事です。

それは一部の成功物語についてまわる、光よりもはるかに広く深い影の部分です。それは仕方のない事とも言えるでしょう。

人生とは、そういう事の繰り返しだと、後になってわかります。

しかし、怪我は後々の人生にも影響を及ぼしてしまいます。せめて怪我が理由で競技を断念する事は避けるよう努力した方が良いと思います。怪我がなければ、人間の体は長持ちしますし、長く競技を続ける事が出来ます。特に未成熟な状態での怪我には細心の注意を払いたいと考えています。

お子さんが手や肩を傷めないようにウォーターバッグを導入しました。

 

普通のバッグよりは拳や肩にかかる負担は少ないように思います。

 

もう一つウォーターバッグを用意しています。

 

 

Grit

この動画の内容は「なるほど!」と思わせるものがあります。しかし万能な処方箋はなく、わかっているのは才能とGritは違うという事だけのようです。一つ重要だと認識できるのは成長思考を持つ事。「成長について学ぶと失敗した時に辛抱できるようになる。失敗は永続的な問題ではないと信じられる(意)」ボクシングやスポーツから人生について役立つ事を学べるとしたら、その意味は非常に有意義なものとなります。

才能は見る角度による

俗に言われているボクシングセンスだけがボクシングの才能とは限りません。どんなところが良いか、欠点か、適性はどこにあるか、続けていれば何か見えてくると思います。小学生の頃、なりたいと思っていた職業に就いている大人は何%でしょうか?殆どは10歳の頃の自分が考えてもいなかった生き方をしているケースが殆どでしょう。

ボクシングが好きになったのなら、現実をフィードバックして行けば思いもしない結果が出るかもしれません。

柔道の小学生全国大会廃止

全日本柔道連盟が主催する小学生の全国大会が廃止されたようです。これについて為末大さんがNoteで詳しく書かれています。

https://note.com/daitamesue/n/n38a02a82e0cf

その文章の意図、真意の説明は広範にわたっており、是非、為末さんのNoteをお読み下さい。

全柔連は大会を廃止した理由は「行き過ぎた勝利主義が散見される。」「大人が、子供の将来ではなく、眼前の勝敗に拘泥する傾向があった。」というでした。

 

為末さんの言う若年層の全国大会を行わない方が良い理由。

①そのスポーツが弱くなるから
②全ての子供がスポーツを楽しめないから
③競技を超えた学びが得られないから

上記に対する反論もあり、為末さんはそれについても説明なさっています。

ボクシングでも小中学生の大会があり、早いストップ、行き過ぎた減量がないようになど様々な工夫がされています。

若年層からのキャリアは現状では必要かもしれませんが、成功例や失敗例にのみスポットを当てて議論するのではなく、現実的なデータをもとに答えを導き出して欲しいと願っています。

体の完成年齢と人生設計

体の完成年齢と検索すると、女性は21歳、男性は24歳。ピークは、女性28歳・男性32歳と出てきます。

これを一般的なスポーツライフにあてはめると、大学を卒業する頃、体格が完成し、これからピークだというところで、実績を残せなかった選手の多くは引退してしまうことになります。いくつまでもスポーツやってないで仕事をしなくちゃ、というのも一つ正解ですが、自分のピークをみることなく去ってしまうのは勿体ないようにも感じます。

 

もし、あなたが20歳で、スポーツ選手を目指すとしても全く遅くはありません。ただ日本社会でサラリーマンとして上位を目指すなら、22歳で就職し、人生を仕事もしくは会社に捧げなくてはいけません。そういう方は別として35歳位までは十分スポーツ選手として活躍出来る可能性があるのです。なんせ先は長いのです。体が完成する時点まで大きな怪我をせずにいれば、きれいで頑健な体でピークを目指す事が出来ます。

もし、それが10歳の少年だとしたら、どうでしょう?その可能性は無限に近く感じます。

 

ただそれには必要な事があります。まず何かしらライフラインとなる国家資格や技術を身に付けましょう。自分の生活を支えてくれて、尚且つ時間的余裕の持てる仕事。これがないと引退後、苦しむ事になりがちです。ただ、あなたがお金持ちの子息だったり、社長の息子さんだったりしたら、その限りではありません。

漫才の立ち位置

ある漫才師の話です。いつも同じ方向を向いて話をしているので、体が歪んでしまっていると言われた事があるといわれた事があるようです。アメトークでも腰痛い芸人という放送があったようです

一方向でずっとトレーニングしていると体が歪んでしまうことがあるというのは当たり前のことかもしれません。

ボクシングも同じ体の使い方をしてしまうと傷めてしまう可能性もあるのかな、と考えてたります。

ナジーム・ハメドとマイク・タイソン

ハメドをコーチしたブレンダン・イングルはジムに「ボクシングは脳に悪い」と書かれたボードを貼っていたと聞いた事があります。(違っていたらすいません)。イングル氏が体の歪みについて考えていたどうかはわかりませんが、イングル氏は左右のスタンス、スイッチを指導していました。またスパーリングは首から下のスパー(ボディスパー)を中心に指導していたようです。健康について造詣が深かったのかもしれません。

マイク・タイソンも頻繁にスイッチを行いました。基本は右スタンスでしたが、接近したときにはスイッチしてスペースを作ったりしていました。ヘッドスリップバッグを使う場合は、ほぼ脚を揃えて左右に頭を振りますし、脚が正面でそろうことも少なくありません。一般的なボクシングスタンスよりも後ろ足が前になっており、偏りが少なくなっているように感じます。

ブレンダン・イングルとカス・ダマト。異端と言われるようなスタイルを構築した名トレーナーの意見として一考の価値ありと思います。

モハメド・アリの言葉

The man who has no imagination has no wings.

想像力のない人に羽はない。

 

自分で考え、想像し創造する。

このことが最も大事な考え方の一つです。

 

自分で考える能力をヘルプする。そう心掛けています。ですが、それはとても難しい事です。